足立屋

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【書評】『市場界隈/那覇市第一牧志市場界隈の人々』橋本倫史/著

内地(沖縄県内以外)出身者の方が、沖縄の日常をより深く見つめられるのかもしれない。

生活の風景はあまりに日常すぎて、なかなかその魅力には気づきづらいですね。

今回は、那覇市せんべろのパイオニア・足立屋を取り上げていたこの本について記載します。

『市場界隈』こんな人におすすめ

  • もっと沖縄のことを深く知りたい人
  • 沖縄観光のリピーター、せんべろ・居酒屋が好きな人
  • 「昭和」の雰囲気が好きな人

『市場界隈 那覇市第一牧志市場界隈の人々』の概要

『市場界隈 那覇市第一牧志市場界隈の人々』は、広島県出身のライター・橋本倫史氏のルポルタージュ。

公設市場と市場で働く人々の生活を、商店単位で切り取った短編集です。

今は亡き旧・公設市場で働いていた人々の生活が懐かしい写真入りで記録されているのが嬉しいですね。

メモ


『市場界隈 那覇市第一牧志市場界隈の人々』 橋本倫史/著

出版社 : 本の雑誌社
発売日 : 2019/5/23
言語: 日本語
単行本(ソフトカバー) : 280ページ
ISBN-10 : 4860114302
ISBN-13 : 978-4860114305
寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.2 cm

 

「沖縄せんべろ文化の震源地・足立屋」から

夜も明けきらぬうちから、赤提灯に火がともる。路地を入った角にある「大衆串揚酒場 足立屋」は、毎日朝6時から営業している。灯りがつくなり、どこからともなくお客さんがやってきて、お酒を飲み始める。(『市場界隈 那覇市第一牧志市場界隈の人々』)

沖縄市胡屋出身の當山さんと東京・足立区で育った永田さんが酒場で出会って、現在の「足立屋」が生まれました。

永田さんが立ち上げた足立屋が一度閉店し、二人で再始動したことはこの本で初めて知った。

物件探しをしている際、公設市場に沖縄そばを食べに行ったその向かいの場所が、現在の那覇店になっているとのこと。

偶然にも那覇店ができてすぐに立って一杯やっていた私には、とても感慨深い話でした。

足立屋の看板
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「酒場がたくさん増えて、個人店が協力しあって今の風景があるって事が伝わると、沖縄の観光名所の一つになってくると思うんです。そういう集合体としての魅力を、半径5キロぐらいの規模で作っていきたいなと。」(『市場界隈 那覇市第一牧志市場界隈の人々』)

 

「モラルを持ってお酒を楽しむお客さんが増えて欲しいですね。今はお店が増えてますけど、それぞれのお店に特徴があるんです。例えば『足立屋』ではもつ煮込みやはまぐりをツマミにバイスサワーを飲んで、『パーラー小やじ』に移動して日本酒を飲む。そうやってきれいにハシゴ酒を楽しめる街になれば、近隣の方々も納得してくれるし、もっと魅力のある街になるんじゃないかと思います」(『市場界隈 那覇市第一牧志市場界隈の人々』)

自分のお店の酒場だけでなく、周囲の街づくりにまで関心を持って仕事をする。

外で楽しくお酒を飲むということは、あたりまえだけどさまざまな人たちの仕事で成り立っているんだなぁ、と改めて実感。

 

足立屋も今では県内に数店舗を構える大所帯。

公設市場周りだけでも、これまであまたのお店が新しく開いては、閉店していきました。

このルポを通じて、人のことばや「街の記憶」を残すことの大切さも学んだ気がします。

 

まとめ・感想

ルポルタージュなので、何か人生についての教訓めいたものが記述されているわけではありません。

ただ読み進めていくと、市場に生きる人々の息づかい、公設市場そのものについて魅了されていくはずです。

そしてその公設市場は、すでに解体されてこの世にはいない・・・。

人も建物も、そして思い出も、一期一会なんだなあと感じます。

 

2019年まで那覇市内にあった第一牧志公設市場のような昭和のノスタルジック感にあふれる建物やそこで働く人たちの魅力は、観光で訪れる人の方が敏感に感じ取れるはず。

この本を片手に、懐かしいなあと思いつつ那覇の街を観光するのも面白いでしょう。

沖縄観光のリピーター、昭和の雰囲気を感じとりたい人に、おすすめです。

 

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